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「……一之瀬。お前呪われてるんじゃないのか?」
「……かも知れないですね」
僕の名前は一之瀬宇宙。
現在15歳の男子中学三年生です。
『宇宙』と書いて『そら』と読むこのスケールの大きな名前には結構気に入っている。
でもたまに『コスモ』とかって呼ばれるのはちょっと嫌だ。
それで僕の目の前に居るのは、文頭からいきなり不吉な発言を僕に叩きつけてきた担任の岡村先生。
何故こんな不吉な発言を叩きつけてきたのか。
それもそのはずだ。
今はまさに高校受験シーズンも峠を越えて、周囲の大多数が進学先を決めている時期だ。
僕は今まで三回受験した。
一回目は、受験会場に向かう途中で、外人に道案内をしていて…
二回目は、やはり受験会場に向かう途中に迷子になった子供遭遇し、その子のお母さんを一緒に探していて…
三回目は、三度受験会場に向かう途中で、今度は車にひかれそうになった少女を助けて、そしたら自分がケガをして病院行き(大事には至らず)…
いずれも、遅刻で受験する事さえ出来なかった。
つまり、僕はまだ進学先が見つかってないのだ。
「お前、もうちょいモノ考えて行動しろよな」
「すみません…。僕、困ってる人放っておくのって出来なくて…」
「…ふぅ。もうここしか残ってないぞ?せめて最後くらい、時間通り受けに行けよ?お前なら、どこでも受かれる脳ミソはあるんだからな」
「ありがとうございました」
一礼して、進路指導室を後にする。
岡村先生からもらった紙を改めて見た。
そこには、学校名、受験日、受験会場、などが書かれていた。
(凰蘭<オウラン>女学院?来年度から共学にでもなるのかな…?)
僕は特に深く考えもしなかった。
後々後悔するとも知らずに…
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