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「生徒会からの伝達事項は以上だ。」
そう言って舞台袖に入った俺は、思わず小さくガッツポーズをした。
さっきのは!!
本田と目が合った!
確実に合ったよな!!
二学期早々俺ってめちゃくちゃついてる!
しかも目が合って、まるで恥ずかしいかのように俯いた本田のあの仕種!
なんて奥ゆかしいんだ!!
そう、なんと菊の恋してやまない会長こと
アーサー・カークランドもまた、
菊に恋しちゃっていたりするのである。
「なーに見つめちゃってんのーアーサー?」
「べっ別に見つめてなんかないっ!!」
朝礼が終わって、ほとんど人が疎らになってから慌てたように出て行く本田の後ろ姿をつい目で追っていた俺は、後ろからの聞きたくもない声に、反射的に言い返してしまってから激しく後悔した。
ここはシカトすべきだった。
「うそつけー、あつーい視線を菊ちゃんに送ってたくせにー」
そうは思っても、すでに手遅れで。
フランシスは、例のニヨニヨとした気持ちの悪い笑みを向けてきた。
「ほっとけよ!」
「やー、でもお前、入学当初から菊ちゃんのこと好きなのになんも出来てねーじゃん。もー片想い歴二年目だろ」
「!?なっなんで知って!?」
「(いやいやいや、誰でも見てりゃ判るって)そりゃまぁほら、おにーさんは愛の伝導師だから。つーかさ、ほっといたら一生実らないんじゃね?」
「俺だってそれくらい判ってる!
だから今学期は、ちゃんときっかけはもう用意してんだよ!ばかあ!!……あ……」
しまった…俺、本気で馬鹿だろ!
よりによってこいつに…
「へぇー何々、おにーさんに教えてよー」
「だっれが!お前なんかに!」
「あっれー。そういう態度とるんだ。
(おもしろそうだし)せっかくこのおにーさんが協力してあげようかと思ったのに(つうかまあ菊ちゃんのためだけどねー)」
「……」
フランシスに話すのは、べつに協力してほしいからなんかじゃないんだからな!ただこのまま言わないでいると、フランシスが五月蝿いから教えてやるだけだからな!!
アーサーは自分に対しての言い訳を心の中で並べ立ててから、口を開いたのだった。
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