後漢志郭図伝…中篇

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遂に袁紹は許都に向けて軍を進める事となった。 郭図は前回の沮授への讒言で監軍としての権利を三分の一獲得していた。 軍の事務は逢紀と審配が担当しているが、取り敢えず軍権を得れたのは大きい。 袁紹の片腕としての一歩を踏み出せた事に違いなかった。 黄河を望み曹操軍と対陣した所で袁紹軍に想わぬ客が訪れる。 徐州牧左将軍劉玄徳。 徐州を曹操に追われ、袁紹の所に逃げ込んで来たのである。 「よくぞここまで辿り着けたものだ」 郭図は思った。 徐州からここまで青州を通らなければならない。 この時期青州は袁曹で二分されており、曹操領土を通らなければここまで辿り着けない。 劉備のこの幸運は曹操が青州を臧覇に任せていた事による。 劉備は曹操の元に身を寄せていた時に臧覇の為に動いてあげた事があった。 前にも述べた通り乱世で生き抜くには相手に恩を売るスキルは必須なのである。 これが青州を抜けるのに恐らく役に立った。 勿論その交渉に孫乾と徐州で名声の高かった糜竺が臧覇に働き掛けていたであろう事は想像に難く無い。 臧覇は琅邪国の相を自称していた事があり、その時に麋竺の名くらいは聞いていた筈だ。
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