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後漢志郭図伝…前篇
さてここでの主人公は郭図である。
この人物も世間につけられた拭いたくとも拭いきれぬ評価がある。
三国志中最悪の軍師。
出ると負け軍師。
ゲームでは進言が必ず外れる。
等々散々な負の扱いを受けている。
だがこの評価とて、後世の人間が勝手に歴史書を読んで下しただけであり、ましてや陳寿の書いた正史三国志には最悪の軍師などと云った記述は勿論無い。
ならば何故そういった画一的な評価が下されているのか。
それは影響力の高い書籍やゲーム等がそういったイメージで彼を売り出し、その影響を受けた三国志ファンを自称する人間がさも自らの意見の様にそこかしこで触れ回っているからだ。
書籍やゲームに文句を云う事は無い。
それは彼等がきちんと郭図の事を調べ上げ、下した評価に因るからである。
問題は郭図の事をろくに知りもせず、したり顔で最悪の軍師と論じる人等である。
改めて問おう。
郭図は「出ると負け軍師」であろうか。
今回改めて『三国志』を読み直し、あくまで郭図の立場に立って郭図伝を起こしてみた。
勿論郭図に都合の良い様な書き方はしている。
だが列伝形式の文体にはその人物の不利になることはなるべく避けて記す事になっている。
列伝を書き記すという立場に於いて私もこの形式を取らせて貰く。
この郭図伝に幾何の真実が含まれているかは失われた部分の方が大半の『歴史』と云うものである限り証明のしようが無い。
が、立場を変えて書くことに因り、これを読んでくれた方が多少なりとも郭図の見る目を変えてくれればとこの作品を完成させました。
なお、郭図の評価に関する部分で参考にした文献は陳寿著『三国志』のみである。
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