月に行きたいのですが・・・

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魔法は僕が中学卒業の頃には早くも学問「魔術学」なんて物が出来ていた。 もちろんあの頃はまだ憧れを持っていた僕。進学希望はもちろん魔術学校だった。 しかし、僕には努力が足りなかったのだ。 受験するも、新しくできた学科なのにハードルは高かったらしく惨敗。 結局、進学校に行った。魔術の参考書は本棚で埃をかぶるだけの邪魔な物になってしまったのだ。 昔まではエリートコースと呼ばれていたルートでこの職場についたのはいいが、今では、勝者は魔法を使える人。僕はと言えば、「普通の中では上」というレベルだ。 収入に文句はない。もちろん、妻にも娘にも文句はない。それでも、僕は夢を見なくなってから人生が全く楽しくない。ならばもう一度・・・もう一度でいい、もう一度でいいから! 「夢に向かって走りたい!!!」 シーンと静まりかえる道。ついつい熱くなってしまったようだ。恥ずかくなり、僕は走った。他人が見えなくなるくらい・・・ ふと見ると一人の少女が立っていた。彼女は誰だ。こちらに微笑みと視線をむけて来ていた。 「アナタ、まだ夢を見てるんでしょ?」 クスクス笑いながら少女は言った。馬鹿にしているのだろうか。 よくよく見ると、少女の服装は黄銅の巨大な杖にとがった帽子。 一目でわかった。 「君は・・・魔法使いなのかい?」
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