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図書館に到着した。目印は大きな月形のステンドグラス。この図書館に来るのは二度目になるが、相変わらず大きい。巨大なステンドグラスは三階まである図書館の階全てを又にかけ、真っ青な瞳を外に向けていた。
この前は手間まで来ただけだったが、今回は中に入る。子供の頃は完全なインドア派で、本を読むのが好きだったから、図書館には毎日のように通っていた。
それもだいたい中学くらいまで。今回は、久しぶりの図書館という訳だ。
入り口も不思議な形をしていた。まるで雪の結晶のような形をしていて、ステンドグラスの飾りかと思うほど華やかだった。ドアノブがついていてやっとドアだという事に気づいた。しかし、明け方はわからなかった。
そこに魔女が来た。
「どうしたの?入らないの?」
「・・・空かない」
正直、大人になって発想力が乏しいと言うかアナログと言うか・・・とにかく恥ずかかった。
しかし、魔女は「入らないの?」なんて偉そうに言っておきながら明け方を教えてくれていなかった。その事を言うと申し訳なさそうに謝った。
「簡単な呪文で開くわよ。オープンセサミ!」
プシューッと煙を小さな穴から吐き出しながらドアはこちらがわに向かってきて、目の前でピタリと止まると横にスライドして行く。なんとも未来的なのだろうか。
それにしても開ける呪文が「オープンセサミ」。直訳して「開けゴマ」というのはいかがな物か。それほど昔の建物なのだろうか?
「どうぞ。狭い場所かも知れないけど、勉強するには最適よ。」
共有のスペースを「狭い場所」と言うのはどうかと思った。しかし、入ると本棚の列がズラリと並び、視力が悪いせいか、奥まで見えなかった。それだけ広い図書館にもかかわらず、机は三つ。一つの机に椅子が六個ずつ並べてあるだけだったし、人も一人もいなかった。
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