ケモナー荘へ

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 「お待たせ」 と、ジンはテーブルに魚の煮物を置いた。   「おいしそうだな」  「だろ。他の料理も持ってくるから」 と、ジンは台所に取りに行った。その時だった。入り口の扉が開き、レイが入ってきた。   「また、夕飯食いに来たのかよ」  「いいじゃない。この荘で一番料理がうまいのジンなんだし。でも、いつも来てるようにいわないでよ」  「はいはい。座って待っててくれないか」 と、ジンは茶碗にご飯を盛り付けながら言った。    レイは田中の隣に座った。   「やぁ、レイ。君も食べに来たんだ」  「うん。彼の料理おいしいから」   「よし、食べようか」 と、ジンはテーブルの前に座り、レイ達に箸とご飯を渡した。  「うん。ジンの作る料理はかなり美味しいわよ。田中さん。食べましょ」 と、レイが言った。   「田中でいいよ」 と、田中は照れながら言った。   「ところでなぜこの荘に住むことにしたの」 と、ジンは田中に尋ねた。  「安かったから。不動産屋があまりお薦めしなかったけどね」 と、田中は答えた。彼は顔に笑みを浮かべた。   「何笑ってるの」 と、不思議そうにレイは尋ねた。   「いや、安い家賃でこんないい荘に住めるなんて思いもしなかったから」 と、笑いながら田中は言った。   「そう。私は人間が入ってくるとは思わなかったよ」 と、レイも笑いながら言った。楽しく夕飯を食べ終え、レイと田中は自分の部屋に帰った。   田中は自分の部屋に戻ると布団を敷き、その上で携帯をいじり始めた。彼は両親に住み始めた荘のことをメールにして送った。 そして、田中は眠りに就いた。
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