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未来の地にて
そよ風が前髪を掻き揚げる。
私は「ん~・・・。」と声を漏らして、
その暖かさに身じろぎをした。
(窓なんか開けていたっけ?
まぁ、いいや。まだ目覚まし鳴ってないし。もう少し・・・。)
そう思って身体を丸め込んだ私を起こそうと、
誰かが肩を掴んで軽く揺する。
「・・・い、君、・・・ぶか?」
しきりに私を夢から引きずりあげようと掛けられる声。
「ん~・・・母さん?・・・まだ、時計鳴ってない・・・。」
貴重な睡眠時間をとられてなるものかと抵抗を試みるも、
彼は私の耳元で「おい!」と一声。
さすがにそれはなんでも驚くわけで。
私は慌てて飛び起きた。そして目の前に広がる光景に目が点。
そこはいつも根城にしている私の部屋じゃなく、
だだっ広い草原だったから。
パンパンパン!ビシバシ!ギュ~。
まだ夢の中にいるのだろうと思って、自分の顔を叩いてみる。
だけど、網膜に映し出されたのは相変わらずさっぱり・・・。
その時、後ろの方から笑い声が響き渡る。
(そ、そういえば私を起こしてくれた人がいたんだっけ
・・・すっかり忘れてた;
だけど、何も笑うことはないんじゃ・・・。)
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