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「残念だがここは君が知っている、
人間が世界を治めている時代ではない。
したがって、君が在学している学校は存在しない。」
いくら顔が猫でも男性であることには変わりない。
誰かにこんな風に掴まれることなんかそうそうあるわけがなく、
混乱している状況にこの話はまさに泣きっ面に蜂。
真っ赤な顔だったのが一気に顔面蒼白。
何も考えられなくなった私に向けて、バルドの言葉はさらに続く。
「君が元のいた時代に戻るには、
ある男が所有しているアニーマントレインを奪わなくてはならない。
男の名はゲルニア=バディスト・・・アニーマン時代を君臨する、 支配者だ。」
「ありえない!」と怒鳴りつけるには、
あまりに現実離れをし過ぎていて。
私はそのまま足の力が抜け、その場に膝をつけた。
目の前にいる猫人間の支えがなければ、
確実に上半身も地に着いていたことだろう。
何も考えられなくなった私の耳に、彼はそっと囁く。
「辛いだろうが、これは夢でもなければ嘘でもない。
君が帰るには、それしか方法がないんだ。」
その声は真剣そのもの。
「まぁ、さっきも言ったように
ここでは話しにくいことが山ほどある。
私の家で詳しい話をしよう。質問もそこで。」
私はただ、頷くしかなかった。
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