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バルドの家まで歩くこと数分。
2人とも一言も話すことなくただひたすら歩いた。
「ここが私の家だ」
さっき私が乗ってきた電車(アニーマントレインだっけ?
長いからアニトレってことで)みたいに派手な家を想像していた分、
私は思わず目を見開いた。
だって……そこには青い屋根に白い壁の家、茶色のレンガで造られた塀とその間を繋ぐ石造りの通路と噴水を避けているかのように色とりどりの花が咲き乱れている―
というおとぎ話に出てきそうな建物の光景が広がっていたのだから。
「どうかしたかい?」
はっと我に返る。
「いやー、さっきあんな電車に乗ってきたもんだからさ?
ずいぶんまともな感覚の家に住んでいるなぁ、なんて。
あ、あはは……」
(私のバカ、アレがこの世界の一般的な感覚だったらどうするのよ;)
でもその心配はどうやら無用だったようで。
フサフサな人は「それは光栄だな」と微笑み私に付いてくるよう促し、玄関に着くと少し待つよう手で制し扉に向き直す。
そして獅子頭のインターホンをトントン。
しばらくすると中から小さな女の子が飛び出し、
開口一番「お帰りなさい、兄様!」と彼に飛びついてきた。
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