旅立ちは突然に

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 てな事情があって私は今、 駅とは反対方向にあるゴミ捨て場にいたりする。 本当はさっさとこれを置いて学校に行きたいところなんだけど、 その前にいろいろと心がまえておかないといけないことが……。 それは、このゴミ捨て場にまつわる2つの恐ろしいこと。  1つは臭い。不燃ゴミとか粗大ゴミならまだしも、 今日は可燃ゴミ&生ゴミの日。 付近から集まった量は半端なものじゃない。またその臭いも。  もう1つは、鳥。さっきも言ったように、 可燃ゴミ&生ゴミが網の中で鳥の餌よろしく状態で鎮座していて。 それを狙ってくるカラスやトンビの数も相当なもの。 ちなみに今もヒッチコック映画の「鳥」に負けないくらいの数が 頭の上を旋回していたりする。 「・・・よし。」  私は決意を固めると大きく息を吸い込んだ。 そしてそのまま山の頂へと飛び込み、 掛けてあった鳥避けの網を少しだけずらす。 白い袋を置いたらまたそれを元の状態に戻し、 さっきいた臭いが届かない場所まで駆け込んだ。この間、約30秒。 息を止めているにはちょっと辛いものがある。  息を整えるために深呼吸を。 そして「いい加減に駅へ行かないと」と思いながら振り返った瞬間、 私の目に飛び込んできたのは普通のより大きくて白い猫だった。  ブロック塀の上を悠々とあるいているその姿は、 王者としての風格を醸し出しているようにすら見える。 彼(?)は私の方をちらりと一瞥して、そのまま歩いていった。  ただそれだけのことだったにも関わらず、 私はすっかり恍惚状態。 何気なく時計を見ると、AM6:19が表示されている。 乗る予定の時間は20分。 「か、完璧に遅刻だ~!」  走り出したところで、私を待っていた結果は・・・。
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