旅立ちは突然に

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 電車が来るのを今かと待っている人々。 中にはまだ少し余裕があるからとブロック塀に寄りかかり、 すぐ近くに置いてある自販機で買ったと思われる 缶コーヒーを飲んでいる人もいる。  私はというと・・・彼らとは反対側のホームで、 1人ポツンとベンチに座っていた。 予想通り着いた時には私が乗ろうとしていた方向の電車は すでに発車した後だった。 向こう岸にいるうちのほとんどが、 私に哀れむような目を向けている。 おそらく私と同じように毎日この路線を使っているのだろう。 (お願いだから、私をそんな目で見ないで・・・。)  不幸にもこの辺一帯にはコンビニとか喫茶店とか、 そういった近代的なものが何もない。 あるのは駐屯所や市役所いった、 住むには最低限の設備の施設くらい。 あとは住宅が半分、田畑が半分を占めているときたものだ。
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