千客万来な1日

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ようやく肩で息をすることができる喜びを楽しんでいると、部屋の中に「カチャリ」と無機質な音が響き渡った。重たい身体に力を込めて起き上がり、周りを見回す。 すると壁際においてある机に、温かそうな湯気をたてているバケツ。その後ろにはちょこんと顔を覗かせているおさげ髪だけの女の子が。 「あかねちゃん!」  彼女の名前はあかねちゃん。この事務所に埋められている死体の1部なんだけど、ある人物の影響で魂だけこの世に戻ってきちゃったんだよね。性格は明るくて素直。コーヒーや紅茶を淹れるのが得意で、なんでも率なくこなすスーパーガールだ。ここでは留守番兼秘書をしてくれている。 「紅茶淹れて待っててくれたの?ありがと~♪」  こうしてあいつが帰ってくるまで束の間、私達は昼下がりのお茶会を始めた。
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