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叶絵が先導して来たのは電車で数駅行った先にあるそれなりの規模の遊園地だった。
「あ、あれ乗りましょう♪」
と彼女が指を差したのは遊園地の定番、ジェットコースターだった。
「良いですよ、では行きましょうか」
「ふふ、楽しみ♪」
そう言って叶絵がネウロの腕に手を絡める。
「叶絵、離れなさいってば!」
「こんなところから言ったところで聞こえないよ;」
私が双眼鏡を使って覗いている横で、どこか遠くを見るような目でソフトクリームを舐めている緋口さん。
ちなみに私の手元にも5本ほどある。
「ったく、今日は偶然非番だったから良かったものの張り込み中だったらどーするつもりだったんだよ」
「ん?緋口さんが笹塚さん達みたいに第一線を張ることなんかないと思っているから、問題なし。」
「……さいですか。に、してもよりによってここに桂木と一緒に来る羽目になるとは。」
2人の移動に合わせつつ、ため息を着く彼に応える。
「仕方ないじゃないですか、叶絵がここに連れてきたんですから……って、あれ?」
「?どした?」
「なんか、ジェットコースターの方の様子がおかしくないですか?」
周りの人達がざわめいて、中には「おい、あれに乗っている奴ら大丈夫か?」なんて言っている人がいる。
彼らの向いている方向に視線を向けて絶句した。
2人乗り用のジェットコースターが新幹線よりも早く、瞬間移動していたのだから。
その車両に乗っていたのは……。
「いやぁ、楽しいですねぇ♪」
「いやぁ、助けてー!」
『……』
その後もメリーゴーランドやコーヒーカップがありえない勢いで回ったり、お化け屋敷に本物のお化けが現れたり。
……明日にはこの遊園地、潰れるだろうなぁ;
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