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それでも彼女は頑張った。
そりゃあもう、見ているこっちが緋口さんと2人揃って
「もう止めて!」って言いたくなったくらい。
「またえげつない道具を使っているんだろうな」っていうのは、
ネウロの正体を知っている人間なら誰の目にも明らかだった。
だけどさすがに疲れたのか、叶絵が「少しのんびりできる乗り物に乗りましょうか」と言い出した。
「良いですねぇ、じゃあ観覧車なんかどうですか^^」
……?
((いやいやいや、まだ乗るのかよ!))
私たちが内心2人でつっこみを入れている間にも、彼らはさっさと行ってしまった。
「はぁ~……こっちの気なんか知らないで。いや、うち1人はわかっているだろうけど;元気だなぁ、あの2人。」
「しゃーないだろ。さっさと追いかけて、俺達も乗るか」
「そうしよっか」
善は急げとばかりに彼らを追った。
叶絵達が観覧車に乗り込んだのを確認すると、
私達も隣に乗り込んだ。
「はあぁ、まさかこんな形で桂木と乗ることになるとはなぁ」
「良いじゃないですか、減るものじゃないですし。」
「ふぅ……。あんた、ここがなんて呼ばれているか知っているか?」「え?恋する離れ島遊園地以外に何か呼び方があるのですか?」
緋口さんがそっぽを向いた。
「……恋する別れ島遊園地」
私が目を点にすると、彼は頬を赤らめた。
「緋口さん、それを信じているのですか?」
こくん。
「か、可愛い~!」
「あー、可愛くて悪かったな!」
「ありゃ、拗ねちゃった。」
そろそろ地上に着くだろうと思う頃になり、
縮こまってむくれている彼に私はこう言った。
「大丈夫ですよぉ。私達、今付き合っていないんですから♪」
「……うわぁん!」
扉が開けられると同時に、彼は風のごとく去って行った。
「あ、あれ?『だからそんなジンクス無効ですよ』って言おうと思ったのに……まぁ、いっか。」
仕方ないから1人叶絵達のところへ向かった。
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