千客万来な1日

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あかねちゃんとの会話を再会していると、再び遠慮がちに「コンコン」とノック音が。今日は千客万来みたい。 「どーぞー。」 声を掛けると入ってきたのは、3人の男性。 「弥子ちゃん。」 「笹塚さん!もう平気なんですか?」 「あぁ。」 「良かった・・・。」 「こっちに来る用事があったし、また心配掛けたから挨拶しよーと思ってさ。」  顎鬚を生やしてスーツにネクタイをだらしなく締めているのは笹塚さん。低いテンションと高い実力で知られている刑事さんで、なぜか私達とよく事件で会うんだ。その笹塚さんの横で・・・。 「先ぱ~い、こんなところにいないで帰りましょーよ~。早く帰らないとTV版『俺達のヤマト~さらば宇宙よ~』が始まっちゃいますよぉ!」 「じゃあ、お前だけ帰れ。」 (ガーン!)  と隣でうなだれているのが石垣刑事。笹塚さんの相棒みたいなんだけど、高いテンションと低いプライドの持ち主で、なんでコンビを組めているのか不思議なんだよなぁ。  そして彼の頭の上に突如現れた2つの手。手の主はそれを「ガシッ」と掴むと跳び箱よろしくな要領で目の前のミーハー刑事を押し退けての登場。転がるハメになった石垣さんに悪びれることなく「硬いこと言うなよぉ」と笑うその人物の正体は・・・。 「よっ、桂木。遊びに来たぜ。」 「緋口さん、」いらっしゃい」  彼の上司にあたる笛吹警視と「キャラがかぶっちゃう」といいながらも着けている大きくて特殊なメガネがトレンドマークの彼は緋口さん。私たちが過去に解いた電人HALの一件で知り合ったんだけど、石垣さんとは違うノリとはうらはらに複雑な過去を背負っていたりして・・・。 「んじゃ、俺らそろそろ帰るわ。」  声がした方を見ると、笹塚さんの後ろ姿とそれを嬉々として追いかけようとする石垣さんが見えた。 「え、もうですか?ゆっくりしていけば良いのに・・・。」 「ケーサツは暇じゃないんだよ!」 「まぁ、そんなとこだな。つーわけで、あんまりそうならないでほしいけど・・・また現場で会ったらよろしく。助手にも伝えといて。」
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