千客万来な1日

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「ずいぶん楽しそうにしているではないか。」  急いでドア・・・ではなく、PCの方を見る。するとそこには、さっきまで電源が切れていたはずの画面に光が宿っていた。 「お、お帰り、ネウロ。遅かったね。」 「邪魔してるよ~。」 画面の中から前髪だけ黒い、長い金髪の秀麗な顔つきの男が現れた。奴の名前は脳噛ネウロ。謎に含まれている悪意を食べて生きている魔界の住人で、実はこいつが事件を解いているんだよね。魔界人が地上で名誉を得るのはマナー違反とのことで。私が探偵・奴が助手という役割をしているけど、本当は主従関係が反対なのがここの実態だったりして。 「『遅かったね』ではなかろう?」  黒い手袋に包まれた手が、私の頭をミシミシいわせるほど強く掴んで、彼の顔に無理やり近づけさせる。 「探偵事務所の『顔』である貴様が業務時間中に仕事を放棄している時に客にでも見られてみろ。イメージダウンして客足が減るようなことがあれば・・・。」 「わ~かったよ!あの椅子に座っていれば良いんでしょ!?」 「わかれば良い。」  ったくもぅ・・・私は緋口さんに向かって手を合わせた。 「ごめんなさい・・・。」 「わかってるって。『仕事に戻るから帰ってくれ』っていうんだろ?こっちこそ長居して悪いね~。」  というと彼はネウロの方に向き直った。 「・・・それにしたってさ。あんた、桂木を働かせすぎじゃねぇ?たまには解放してやれば?」 「僕は『先生』の『助手』ですからね。先生がいるところに僕ありなのですよ。」  不穏な空気が一瞬よぎったけど、かと思えば情報犯罪科の刑事さんは私に向かって「ニッ」と笑いながらまたくることを告げて去っていった。
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