16人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「ザネリ、ジョバンニ!」
懐かしい声が僕らを呼ぶ。
振り向くとそこには、捜し求めた彼がいた。
「「カムパネルラ!」」
僕らは転げそうな勢いでいっせいに走り出した。
彼も同じく走ってきた。
「2人ともどうしてここへ!?」
びっくりしたような困惑したような目が、僕とザネリを交互に見回す。
「カムパネルラ、私……」
今にも泣き出しそうな彼女を見ると、カムパネルラは全てを理解したようにふっと微笑んだ。
「ザネリ、君が泣くようなことは何もないんだよ」
「だって、私、あなたに……」
その先を言おうとする彼女の肩を掴むと、カムパネルラは人差し指を唇に置いた。
「これが僕の天命だったんだ、だから仕方がないんだよ。でも僕はちっとも悲しいと思っていないよ。
だってそうだろう?大切な友人である君を守れたんだ、これ以上に素晴らしいことがあると思うかい?」
「カムパネルラ……」
大粒の涙が零れ落ちていく。
少し寂しそうな顔でそれを見ると、彼は僕の方を向いた。
「ジョバンニ……」
「わかってる。ザネリのことは僕が見守っていくよ」
それを聞くとカムパネルラは安心したように笑顔をくれた。
最初のコメントを投稿しよう!