二人の軌跡

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暖かくもまだどこかに少し肌寒さが残る春。 穏やかに流れる雲とは対照的に今日から新生活となる者にとっては何かと忙しい時期。 世間の学生は今日、もしくは明日から新学年を迎えることだろう。 実は俺もその内の一人で、今日は入学式だ。 今日から、俺の新たな生活が始まる。 中学校を卒業してから今日まで胸が踊るような気分でもあり、どこか不安で調子があまり良くない気分でもあった。 昨日まではそんなことを言っていても、遂に今日が来たわけだ。 気合いを入れ直して自宅を出る。 気分一新。 人生の一区切りがあるならば、それは今日この時から始まるのだろう。 今日から3年間。 一体、何が俺を待っているのだろうか。 期待に胸を膨らます俺。 しかし、何やら予想とは少し違っていて…… お隣さんはこんな日に限って必ずと言っていい程、騒がしいのだ。 「あんたたち、もっと近付いてくれないと上手く写真が撮れないでしょ?」 そこでは、加奈の母親が俺たちの制服姿を写真に収めようとしている。 少々荒っぽい言い方になっていて、好きな割にはいつまで経っても使い慣れていないカメラを手に苛立ち気味だ。 「もう!早くしてよ、お母さん!」 加奈は、そんな母に少し呆れているようだ。 確かに加奈の母親が写真を撮ると言ってから、結構な時間が経つ。 「はいはい」 そんな言葉に加奈の母親は少し投げやり気味な様子。 俺たちの真新しい制服姿はようやくカメラに収められ、加奈の母親は満足したような顔を見せた。 その表情から、今度こそはちゃんと撮れたのだろう。 ……ちなみに、これで四度目だ。 そして俺は、写真を撮ったと同時に加奈から少し離れた。 「今度はちゃんと撮れた?」 「どうだろう。現像してみないとわからないけど……まぁ、いっか。さっ、早く行ってらっしゃい」 「はっ?お母さんが写真を撮るからって言って、私たちを引き止めたんじゃん!」 加奈の話など全く聞く様子はない。 写真が上手に撮ることができて気が済んだのか、加奈の言葉に耳を傾けることなく足早に家の中に入っていった。 「ホント、加奈のお母さんは写真を撮るのが好きな割には上達しないよな。なぁ?」 「いや、私に聞かないでよ」 「だって、お前も写真撮るの好きじゃん?」 暖かい日差しが俺たちを優しく包んでいるような始まり。 俺たちは晴れて高校生になるため、新たな学舎へと向かう。

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