第一章 ~出会い~

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「バカ!貴志!戻れ!」 敦子が叫んだ。 その声に彰が振り向き、まだ諦めきれない様子の貴志を引きずるようにして、改札口まで戻ってきた。   「乗れると思ったのになァ。」   頭を掻きながら貴志が呟く。 「カバン挟まれそうだったんだぜ。」   彰が笑いながら敦子に話しかけた。   …あれ?この二人…知り合い?クラス違うのに?   「敦子、知ってる人?」   小声で聞いたつもりだったが、彰の耳に入ったのか、優花を見て笑いながら彰が言った。   「俺、K中!」   「K中?」   敦子も貴志もK中出身だった。 優花は同じ駅の反対側にあるN中出身だった。 1年の時、二人と同じクラスになり、行き帰りに駅前で出合う事が多く、それがきっかけで仲良くなったのだ。   「K中なら駅同じよね?今まで会わなかったよね?」   「隣の駅から乗ってるからね。家が真ん中あたりなんだよ。」   こんなに目立つ人なのに今まで気付かなかったなんて…  
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