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「バカ!貴志!戻れ!」
敦子が叫んだ。
その声に彰が振り向き、まだ諦めきれない様子の貴志を引きずるようにして、改札口まで戻ってきた。
「乗れると思ったのになァ。」
頭を掻きながら貴志が呟く。
「カバン挟まれそうだったんだぜ。」
彰が笑いながら敦子に話しかけた。
…あれ?この二人…知り合い?クラス違うのに?
「敦子、知ってる人?」
小声で聞いたつもりだったが、彰の耳に入ったのか、優花を見て笑いながら彰が言った。
「俺、K中!」
「K中?」
敦子も貴志もK中出身だった。
優花は同じ駅の反対側にあるN中出身だった。
1年の時、二人と同じクラスになり、行き帰りに駅前で出合う事が多く、それがきっかけで仲良くなったのだ。
「K中なら駅同じよね?今まで会わなかったよね?」
「隣の駅から乗ってるからね。家が真ん中あたりなんだよ。」
こんなに目立つ人なのに今まで気付かなかったなんて…
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