第一章 ~出会い~

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パパが乗っていたってケガしているわけじゃない…   自分にそういい聞かせて、もう一度電車の方に目を走らせたが、急に目の前が暗くなり、その場にしゃがみ込んでいた。   遠くのほうで敦子の声がするが何を言っているか聞き取れない。   「こっち!」   誰かの声がする…と同時に体が軽くなったような気がして顔を上げると、彰が体を支えて植え込みの影に座らせていた。   「…大丈夫?」   少し眉を寄せて顔をのぞきこんでいる。   「…うん…大丈夫。」   「顔…青いよ。」   「大丈夫。」   立ち上がろうと手をついた時、柔らかい感触に気がつき、慌てて手を離すと、白いadidasのバッグが目に入った。   反射的に彰の顔を見ると、眉を寄せたままの顔で 「スカート…汚れるだろ。」 と呟く。   白いバッグこそ汚れてしまうのに…   「ありがとう」   お礼を言ってバッグを渡そうとして思い出した。 そうだ、パパの事だ。
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