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「…ありがと。いただきます。」
同じように真っ直ぐ前を向いたまま、少し頬を染めて水を口にした。
冷たい水がスーッと喉を通り、気分が落ち着いてくるようだった。
彰に言われたように、一口飲んでキャップを閉め、何故か嬉しい気持ちになった。
「…余計な事言ってごめん。」
突然に謝られて優花は面食らった。
「…心配させるような事言ったからさ…。
この人…私が具合悪くなったのは自分のせいだと思ってる…
違う…と言おうとして口をつぐんだ。
このお水はお詫びのしるしなんだ…
特別な意味なんかないんだ…
何も言わずに立ち上がると、白いバッグが目に入った。
潰れたバッグの汚れを手で払い、彰に差し出した。
「行こうか。これ…ありがと。」
努めて明るい声をだした。
ゆんゆん、歩ける?』
敦子が心配そうに尋ねた。
「うん。大丈夫。遅くなるから行こう。」
優花は先頭きって歩き出した。
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