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『もしもし、聞いてるの?ゆんゆんはどうすんのよ?』
耳元で敦子の、少し早口な声がする。
ああ、そうだ…返事しなきゃね…
『うん、出席するよ。みんなと会うの久しぶりだしね。』
『よかった~!じゃ一緒に行こうね。』
『うん、待ち合わせ場所は後で決めようね。』
電話を切った後で、優花はため息をつきながら、ちょっと面倒臭そうにのろのろと、本棚から一冊のアルバムを取り出した。
<終わりのない始まりの日に>
高校の卒業アルバムのタイトルだ。
3年の担任だった高杉先生が、定年前だというのに退職する事になり、送別会を兼ねた同窓会をやろうという企画があるらしい。
『先生辞めちゃうんだな…』
職員紹介のページをめくり、指で高杉先生の顔の辺りを軽くたたく。
古文の先生らしく優しげに微笑む顔が懐かしい。
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