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駅前には長蛇の列。いや、列とはいえないような人だかり。
「何してんだよ!」
「まだなのかよ!」
「遅刻しちゃうし~。」
「どうなってんの!!」
罵声が飛び交う中、駅員が必死にマイクで説明しているが、騒然とした中、説明している方もオドオドしているせいかよく聞き取れない。
…なんだろう?事故かな?
キョロキョロと周りを見ながら、いつもなら待っている筈の敦子を探す。
「よッ!」
後ろから肩をたたかれ振り向くと、同じクラスの貴志が、走ってきたのか髪を少し乱しながら立っていた。
「電車 走らなそうじゃん。俺 ちょっと聞いてくるわ。」
そう言うと、人込みをかき分け、前の方へ進んで行った。
一生懸命セットしてきたであろう髪が、ますます乱れているのに気付くことなく、揉みくちゃにされながら戻ってくると、
「この先の踏み切りで事故があって、発車見込みナシだってさ~♪」
と、なんだか嬉しそうだ。
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