第一章 ~出会い~

4/14
前へ
/17ページ
次へ
無意識に襟の学校章のあたりを見る。   同学年…Fクラス… こんな人いたっけ?   不思議そうな顔の優花をチラリと見て、彰と呼ばれた彼は、少し微笑んで頭を下げ、貴志を引っ張って行った。優花もつられて頭を下げた。   「じゃあね~。」   貴志と彰の後ろ姿を見送っていると、息を切らしながら敦子が走って来た。   「おはよう。凄い事になってるね!」 「電車動く見込みないって!どうする?」   すぐ近くに、JR線と並走している私鉄のK線の駅があるが、駅数が多い上に、駅間が短く、しかも各駅停車の為、JR線を使うより20分も多く乗車しなければならない。 また学校行きのバス乗り場までも、少し距離がある。 しかしそんな事は言ってられない。   「K線で行こうか…。」 「それしかないよね…。」   敦子と並んでK線の方へ歩き出しながら   貴志とあの人はK線に乗るのかな…   そんなことをぼんやり考えていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加