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K線はJR線の事故の影響で、いつになく人であふれかえっていた。
たった4両編成の車輌では、JRから移動してきた乗客をさばききれるわけもなく、改札口はおろか、切符売場にすら入れない有様だ。
こちらも駅員が総動員で、必死に乗客を捌こうとしているが、普段、朝のラッシュとは縁遠いこの駅では、駅員もどう対処していいのかわからず、あちこちから怒声が聞こえる。
「…無理だね…」
「…無理だ…」
あの中に入っていく勇気はなかった。
「…次の駅まで歩こうか。」
ここにいるより、歩いて次の駅まで行き、そこから乗車する方がよほどいい。ここより空いているに違いない。
同じように考えている人が何人か、すでに歩き始めている。
二人も慌てて後を追った。
K線沿いの道の両側には、白とピンクの花が植えられ、気色ばった人の心をいくらか和ませていた。
10分ほど歩き、信号を渡って左に曲がると駅が見えてくる。
「うそ~!!」
「ここも駄目なの~!?」
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