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「・・・っく・・・えーん・・・」
その日、公園で泣いている女の子を見つけた。
僕は、ゆっくりと近づいて声をかけた。
「何かあったの・・・?」
―これが、最初の出会いだったー
「・・・あのね、お父さんとお母さんがいなくなったの・・・」
「じゃあ、君一人なの・・・?」
「ううん、お姉ちゃんがいるから、一人じゃないよ」
悲しげに話す、女の子。
僕は、この子が寂しい思いをしている事に、気づいた。
「君と君のお姉ちゃんの二人で暮らしてるの?」
「・・・お姉ちゃんが昔お世話になった人の所で暮らしてる・・・」
話している様子から、この子がお父さんやお母さんの事が大好きだった事が何となく分かった。
「そっか・・・」
「ねぇ、君の名前、何て言うの?」
「僕は、風だよ。君は?」
「私は雛瀬っていうの。宜しくね、風君」
「僕の方こそ、宜しく、雛瀬ちゃん」
―桜の舞う、春の頃だったー
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