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日曜日、待ち合わせ場所に行くと、宗也君以外みんな来ていた。
「遅いよ、風君」
「約二分の遅刻だ」
「あー、寝坊してさ。これでも急いできたんだよ」
本来起きる時間の、三十分もあとに起きてしまった。
本当なら時間に大分余裕があったはずなのに急ぐ羽目になったのは、このためだ。
「まあ、まだ宗也君来てないし、許してあげる」
「ありがとう」
宗也君が来たのは、それから十分後。
僕も遅刻したけど、宗也君も完全に遅刻だ。
「宗也君、十分の遅刻だよ」
「何してたの?」
「え・・・。ちょっと寝坊して。ごめん」
「ま、いっか」
「みんな揃ったんだし、そろそろ行こうよ」
まあ、そんなこんなで出だしから良くなかったけど。
「あ、これ可愛い♪」
「ほんとだ」
聖と美穂が犬のぬいぐるみに目を奪われている。
その横で、宗也君が。
「そうか?俺としてはこっちの熊の方が・・・」
「それ、リアルに再現しすぎてて怖いよー」
全然可愛くもないぬいぐるみを推奨して聖に反論されていた。
あ、ちなみに僕としては、美穂と聖の見ている犬のぬいぐるみの方が好きかも。
「この猫のぬいぐるみも可愛いんじゃない?ね、風君」
「あ、ほんとだ。さっきの犬のぬいぐるみも可愛かったけど、こっちも可愛いね」
某漫画で出てくるような、額の一部だけが白くて周りが黒い、可愛い猫のぬいぐるみを、雛瀬が見ていた。
僕もこれは可愛いと思う。
その後も、色んな店を見て回ったりして、僕らの買い物も終わりを迎える事となった。
「今日は楽しかったねー」
「そうだな」
「風が可愛いぬいぐるみを好きだったなんて知らなかったよ、俺」
「何か意外そうに言うの、止めてくれないかな?」
「悪い、悪い」
美穂たちと別れたあと、僕はいつものように雛瀬を家まで送っていった。
そして、家の前まで来た時。
「ねえ、風君。これ、この間くじ引きで当たったんだけど・・・、一緒に行かない?」
「これ・・・遊園地のペアチケット?」
「うん。駄目かな?」
「いいよ。何時行く?」
断るわけが無い。
雛瀬とは色んな場所に行ったけど、遊園地はまだ行った事なかったし。
「来週の日曜日でいい?」
「うん、大丈夫だよ。何も予定ないし」
「そっか。じゃ、明日また学校でね」
雛瀬と別れて僕は帰路につく。
何だろう、雛瀬と一緒にいると、安心出来るような気がする。
この気持ちは何なのだろうか。
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