2人が本棚に入れています
本棚に追加
それからしばらくの間。
学校では主に僕に対しての騒ぎが収まらなかった。
「おい、お前。雛瀬さんの事を独り占めするなんてずるいぞ」
「そうだ」
雛瀬と一緒にいることで、よく男子生徒から殺気のこもった視線が突き刺さってきたけど、関わっていると面倒なので無視。
そうしているとそのうち、男子生徒たちも僕と雛瀬の関係を認め始めた。
「風、よかったわね」
「何が?」
「騒ぎが収まって。もし大きくなってたら怪我人が出てたかもしれないし」
雛瀬の言う事はもっともだろう。
騒ぎがもっと大きければ、きっと今頃保健室は大忙しだ。
ちなみに、あの告白のあと、雛瀬は僕の事を、『風』と呼び捨てで呼ぶようになった。
まあ、僕がそう言って欲しいって頼んだのもあるんだけど。
「相変わらず仲がいいね、風君、雛ちゃん」
「雛も風君も、幸せそうだな」
「というか、雛と風君に何があってこうなったの?」
そう言えば、聖も理緒も美穂も事情を知らなかったっけ。
「そのことだけど・・・この間、遊園地に行ったんだ。それで、観覧車で・・・」
事情を説明する僕。
っていうか、僕と雛瀬が二人で出かける時はよくみんなして尾行してるくせに、今回は尾行してなかったのが不思議だ。
まあ、されないにこしたことはないんだけど。
「なるほどな。それで雛瀬と風はこうなったのか」
「でも、雛と風君なら、もっと前に付き合い始めてもおかしくは無かったと思うけど?」
「確かに。二人とも自覚無かったみたいだが、随分前から気持ちがお互いに向いてたみたいだし」
・・・そうだったのかな・・・。
よく分からないけど、理緒がそう言うなら、そうなのかもしれない。
「そうね・・・。自覚は無かったけど、そうだったかもしれないわね」
「まあでも、いいんじゃない?どうせ結果は同じだったんだし」
「そうそう」
聖も美穂もこう言ってるし、まあいいか。
とにかく。
こうして僕と雛瀬は、クラスメート達にも認められて、誰の目にも恋人として見られるようになった。
―そして、その後。
学校行事とか、色んな場所で、色んな波乱が起こったりするんだけれど、それはまた、別のお話―
【END】
最初のコメントを投稿しよう!