時計塔の約束ー希望の鐘ー

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しばらくして、文化祭とか合唱祭とか行事はあったけど、私が人と関わりあう事はあまりなかった。 合唱祭はともかく、文化祭の時はずっと部活の方に顔を出していた。 故に、ほとんど回っていない。 「最近、友達の話が出てこない気がするんだけど・・・」 「気のせいよ♪」 「そっか」 お母さんに聞かれたが、なんとか誤魔化した。 最近はこんな事が時々ある。 こんな誤魔化しをしていては、事の真相がばれた時が怖い。 だけど、誤魔化さずにはいられなかった。 心配をかけたくは無かったから。 だから、中学の頃の友人にもずっと内緒にしていた。 中学の頃は孤立しやすかった。 友人に大丈夫かと一度心配されていたから、もうこれ以上は心配をかけなくたかった。 「ほんと、どうしよう・・・」 自室で思わず呟く。 それほどまでに私は悩んでいた。 だけど、誰にも相談はしなかった。   クラスマッチも終わって、夏休みに突入する直前。 全校生で、野球部の試合の応援に行く事が決まった。 現地までは各自で行く事になっていたので、私は一人で皆の流れにそってついていった。 そんな時だった。 「一緒に行く?」 と声をかけてくれたクラスメートが居た。 だから私は、その人たちと一緒に過ごした。 その日だけ、だったけど。   ヒナは今日、一人で行くつもりだろうか。 そんな事を私は考えていた。 「でも、すごいよね、準決勝って」 「野球はよく分からないけど」 「もー、またそんなこと言って。理紗ちゃん、少しくらいは知ってるんでしょ?」 「ほんとにあまり知らない」 ・・・ほんと、この二人は相変わらず能天気だ。 私が考えている事を、この二人は全く考えていないだろう。 行きも帰りもそんな考えを張り巡らせていたら、ヒナがクラスメートと一緒に居るのを一瞬見かけた。 ヒナは自分から輪に入っていくようなタイプじゃないから、きっと声をかけられたんだろう。 それでも、ヒナが誰かと一緒に居るなら、それでいい。 一人で居るよりはずっとましだ。 「美紀ちゃん、また何か考え事?」 「まあね。でも、何でもないから気にしないで」 「そっか。美紀がそういうなら気にしないけど」 何とか泉と理紗を誤魔化す。 だけど、この誤魔化しも何時まで続くものか・・・。
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