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ここは、地球のどこかにある人間界から隔離された深い深い森の中に立つ、魔法学校『ブシュ・ド・ノアール』
この学校に、この物語のもう一人の主人公がいる。
彼女の名は、ルゥ・グラッセ。7歳。
魔法学校2年の魔女(人間界でいうとこの小学2年生)。
今日は、ほうき競争(ほうきに乗り一定距離を同時に飛び速さを競う)の授業のようだ。
ほうき乗り事態は魔法使いなら誰もができること。
人間界で例えると自転車に乗るようなもので、大体2年生になる頃には乗りこなせるようになっているのが普通だ。
しかし、ルゥは未だほうきに上手く乗れない。
案の定、ほうき競争の順位は最下位だった。
最も、彼女の順位が最下位なのはほうき競争だけではない。
魔法薬学の成績も、呪文学の成績も、その他一般学の成績もドベ、ドベ、ドベ。
最下位を独占状態だった。
挙げ句の果てに、その性格もドジでとろくさく、引っ込み思案とまさに、手の施しようもない駄目さ加減に、いつも皆の足をひっぱると女子にはぶられ、男子にはからかわれ、先生すらもルゥの成績の悪さには頭をかかえていた。
さて、次の授業の為にほうきを自分のロッカーに片付けているルゥの背中を、男子達が通りすがりに
『やーいドベ!!』
『お前本当に魔法使いかよ!?』
『ほうきも乗れねーなんてだせっぇ~。』
と押して行った。
ルゥは、背中を押されるその度にロッカーの角に頭をぶつけたが一群が過ぎ去ると、少し手でさすってそれから笑ってみせた。
そんなルゥを教室のドアのとこに張り付いて、女子数名がのぞき見ている。
『何よあれ。ばっかじゃない!?』
『男子にかまわれてるからって、何浮かれてんの!?』
『少し可愛いからってムカつく!!』
と悪態をついた。
というか、むしろヒガミ。
確かにルゥは、馬鹿でドジで引っ込み思案な駄目駄目娘なのだが、その反面。
すこぶる可愛いく、性格も優しい子なので実は密かに男子に人気があった。
しかし、この年頃の男子達は口が裂けても可愛いとか好きとか言えないものなので、その気持ちが逆な方向に向かいからかうという行動になるのだった。
だから、ルゥが女子達に、はぶられてる理由の殆どはこれで、そしてこれが要因でルゥはもう一人の主人公と出会うこととなる。
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