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『先生……お願いです!私も連れて行って下さい!!』
『……無理よ。』
『どうしても、どうしても行きたいんです!!』
『その気持ちはわかるわ……でも……』
『私、練習しますから!……遠足までに飛べるように、練習しますから……お願いです。』
熱弁するルゥの目から、ポロポロと涙が飛び散る。
執務室には、ルゥの嗚咽する音だけが響いた。
先生は沈黙し、ルゥの顔とそれから時折虚空を見て、そして額に手を当て長い溜め息をひとつ吐くと言った。
『……わかったわ。6日あげます。6日目の夜に飛行テストをします。人間界に行くのは夜ですからね、それで学校の上空を三周10分以内に回ること。
これが出来たら、遠足の参加を許可します。出来なかった場合は、可哀想ですが諦めること。
いいですね、ルゥさん?』
『……はい!!』
意気揚々と執務室を後にするルゥの背中を見送りながら、先生はまたひとつ大きな溜め息をもらし
『あんなに張り切ってしまって……可哀想なことをしたわ。
でも仕方ない。
これも、あの子の為。
人間界に落ちてしまうよりは良いもの……あの子もいつかきっとわかってくれるわ。』
と一人ごちた。
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