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翌日ルゥは日が昇る前に目が覚めた、昨日いなくなったホウキが気になって目が覚めてしまったのだ。
ホウキが無ければ練習が出来ない。
しかし、ホウキを店で買うお金はないし、作るには……人一倍トロいルゥだ、作ってるだけで一週間はあっという間に過ぎてしまう。
なんとしてでも、逃げ出したホウキを捕まえなければならない。
練習もしなきゃいけないのだから、今日中にだ!!
ルゥは枕元に置かれたガス灯ランプに火を入れ、魔法書をめくった。
ホウキが逃げ出す理由と、逃げ出した後どこへいくのか。
しかし、ルゥの魔法書には……かいてなかった。
低学年レベルの魔法書だからかもしれないし、ホウキに逃げ出される魔法使いなど居ないからかもしれないが、とにかくこの謎を解く答えはこの魔法書にはかいてない。
だが、他の魔法書や……あるいは古い魔法使いならばそれを知っているかもしれない。
ルゥは、ベッドから飛び起きて身支度をした。
学校まではまだたっぷり時間があるし、年寄りは早起きと決まってる。
ルゥは走った。
外は肌寒く、ランプの明かりさえ濁って見える程の濃い霧が立ち込めている。
ルゥの家のある丘から下った先に広がる街にはまだ人影もなく、右手には霧に霞みぼんやりと学校が見えた。
街を抜けると、小高い丘がありその後ろには魔海が広がっている。
ルゥはその丘の上に立つ一件の家の前で足を止めた。
不気味な静けさが漂う。
その家は大きくはないが石造りの頑丈そうな家だった。
そういうと聞こえはいいが、実際はさび付いた鉄格子の着いた窓に、ツタと苔がからみついた壁、屋根には気味の悪いゴーレムがついている、不気味な佇まいだ。
まぁ……ルゥの家も人のことは言えないが。
古い木戸には二本の角を生やした生物の頭蓋骨がくっつていていて、その口に戸打ちの為の鉄輪を加えている。
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