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暑い日だった
後から聞いた話では
この夏一番の暑さだとか言っていた
アスファルトの焼けた匂いが鼻につく
クーラーばかりの生活に飽きていた俺は
何をするでもなく公園で夏を感じていた
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『あっ奈美ちゃん!?』
俺は突然のことに一瞬で心臓がバクバクした
『ん?でも様子がなんだかおかしいなぁ』
いつも感じる涼しい空気は、今の奈美にはない
逆に人生が終わったみたいな冷たさを感じる
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『なっなみちゃん、ハロォ~』
ちらりと一瞬目線をこちらに向けたような気がした
いや、あやふやになってしまうくらいあまりにも一瞬だった
『あ・・・良太君・・・』
か細い声だった
『きっきょうは、あっあついねぇ・・・』
わざとらしいか?
いや、言葉を選べるような余裕がない
『・・・そだね・・・』
地面に響くほど低い声だった
『(こりゃいかん!!なんとかしなきゃなぁ・・・空気を変えよ★それっきゃない!!)』
『なっ奈美ちゃん・・・あのさぁ・・・』
『・・・・・・っ・・・・』
俺は言葉を失った
俺は今ここで、俺のすべてをかけてもいいと思った
奈美ちゃんの涙・・・
女の子の涙をこんなに近くで見たのは初めてだった
しかも相手は恋い焦がれていた奈美ときたら、一塩だ
俺には風が止まったような気がした
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