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バイトが終わり、家に帰ろうと自転車に乗ると後ろから呼び止められた。
「平井さん、今日は親切にお仕事を教えてくれてありがとうごさいました。これからも迷惑たくさんかけると思いますがよろしくお願いします。」
僕を呼び止めたのは東雲葵だった。
「あっ、東雲さん。今日はお疲れ様。」
帰る方向が一緒だった為、僕は東雲葵一緒に帰る事になった。その途中、河原の土手の辺りに近付くと彼女は突然走り出した。そして、土手を降り、川の近くで立ち止まった。
(あ…)
僕は本気で驚いた。昨夜見た後ろ姿のキミは間違いなく東雲葵である事に気付いた。バイト中はまったく気が付かなかったが間違いない。もう会えないかもしれないと思っていたが、また再び会う事ができた。まだ後ろ姿をみているだけで僕は満足だった。
少したつと彼女は僕のところへ走って来た。
「平井さん、ごめんなさい。月があまりに綺麗だったからつい…」
葵は息を切らせながらこう言った。
「別にいいよ。あと、同じ年なんだし雪人って呼んでよ。」
他人行儀な呼び方を好まない僕は葵に名前で呼ぶように言った。
「了解。お待たせ。帰りましょう雪人君。」
彼女はニコッとほほ笑み再び歩きはじめた。しばらく話をしながら歩いていると…
「ここから近いからもう大丈夫です。送ってくれてありがとう。」
と言い彼女は僕に手を振りながら去って行った。
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