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ああ……そうだ。
彼女は今日も、また僕の手の届かない言葉をくれる。
僕よりもずっと、モノの本質を見ていて、自由で、何より輝いている。
「だから絵を描いているの」
付け足すように彼女は軽く笑って、イーゼルから僕を見上げた。
その白く鮮やかな微笑みを、僕は忘れないように瞳に描き映す。
「ああ、そうだね」
僕はそう返事をすると、心の中で言葉を紡いだ。
いつの日も変わらずにいる彼女と、その言葉を聞きたい。
だから、僕は今日もまた彼女の隣にいるのだろう、と。
それが、明日も明後日も変わらないようにと、ささやかに祈りながら。
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