# 03

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待ち合わせ場所に着いた。 彼らしき人を捜す。 若い男を見ると彼ではないかと緊張した。 やっぱり帰ろうかな… そう思った時だった。 「ハルカちゃん?」 聞き覚えのある声で呼ばれた。 振り返ると 長身で体格の良い男が立っていた。 優しい笑顔で私を見る。 「オレ、アツキだよ。」 「あ…」 「え?ハルカちゃんじゃないの??」 彼からは笑顔が消え、焦り出した。 「あっ、えっとハルカです。どうもっ」 私は軽く頭を下げる。 アツキは安心したように、ため息をつくと再び笑顔になる。 「良かったぁ。人違いかと思って、かなり焦ったよ-っ!」 「ごめんね。急に声かけるからビックリして…」 「そっか-。こちらこそ、ごめんねっ」 アツキは電話と変わらない、明るい声で謝った。 「じゃあ、行こっか。」 アツキは私を誘導するように、歩き出した。 後をついて行くと、アツキの車へ着いた。 アツキは助手席に私を乗せると、車を出した。 始終、笑顔で話すアツキを見ていると 私まで笑顔になった。 電話と変わらない明るい声や、話し方。 笑い声。 初対面だったが、心地が良くて 素直に笑えた。
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