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黙る私に、アツキはつらつらと言い訳を並べた。
まるで他人事のように、アツキの声は遠くて私の耳には届かない。
必死に話すアツキが、可笑しくて笑った。
アツキが怪訝な表情になる。
「必死だね。」
「ハルカ…」
アツキの顔が悲しげにくもる。
「今は、何を言われても信用できない。もう帰るね。」
「…送るよ。」
アツキは遠慮がちに私を見たが私は視線を合わせず、車のドアに手をかけた。
「大丈夫。早く家に帰りなよ。」
精一杯の嫌みだった。
「じゅあね」
車から降り、アツキを見た。
何か言いた気だったが、構わずドアを閉め手を振った。
私はアツキの車を離れた。
しばらくすると
ゆっくりアツキの車は動いた。
もう会う事はない。
涙も出なかった。
自分の男運のなさと
見る目のなさに
情けなくて、笑えた。
笑い過ぎて涙が出る。
結局、私は
出会い系のお手軽女にしかなれなかった。
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