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機械的な呼び出し音が響く。
何度目かのコールでアツキの声に繋がった。
「もしもし」
「あっ。アタシ…」
久しぶりに聞くアツキの声に緊張して、言葉が続かない。
「うん…どうした?」
優しく、だけど戸惑っているようにアツキは問い掛けた。
「あのね…アタシ。
アタシ…アツキのそばにいたい。」
「え…でも俺は…」
そう言いかけて言葉につまる。
「わかってる。それでも、アタシは好きなの。そばにいたいの。」
私は、言い切るとアツキの言葉を待った。
「ハルカ…
俺と居ても幸せになれないよ?だから、俺なんかより他に良い男見つけて…」
「それでもいいの。
それでもそばにいたいから。」
最後まで聞かずに
遮るように言う。
アツキは黙り込み、沈黙が続いた。
「ハルカ…」
重い空気が流れる。
「ほんとにいいの?」
「いいの!」
私は即答した。
アツキは半分呆れたように、「バカだな」と笑った。
そしてアツキと私の関係は、深くなっていった。
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