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私はやっとわかった。何故会長が気になって仕方なかったのかが…
記憶の片隅に兄への罪悪感が残っていたからだと。
「梢が7才、お兄ちゃんが12才だった…」
母は遠くを見つめていた。
「私の為に、ごめんね、お兄ちゃん…暗かったよね」
涙が止まらなかった。
「槇ちゃんにも迷惑かけちゃったのよ…」
突然槇斗の名前が出て来て驚く私に、母は又話し出した。
「血の繋がりはないのに、槇ちゃんはお兄ちゃんにそっくりでね。真似ばかりしていたからなんだけど…槇ちゃんを見るとお兄ちゃんを思いだしてしまって…お母さん泣いてしまったの。記憶を塗り替えたはずの梢までも槇ちゃんを見て、お兄ちゃんって言い出したり…つい、槇ちゃんが女の子だったらよかったのにね…って言ってしまったの。次の日から、槇ちゃん…女の子みたいに振る舞い出して…」
「槇…斗」
私はどれだけ槇が…槇斗が自分を思ってくれているのかをあらためて思い知らされた。
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