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一人の少女が自転車を漕いでいる。
顔には、少しばかり笑みが見えていた。どうやら学校に向かう途中らしく、ブレザーの制服を着てかごにはバッグもある。
しかし少女は、途中の細道に入っていき自転車を停めた。
そこは、学校ではない。
「…やっぱり晴れたね」
誰もいないのに、少女は話し出した。
学校のこと…
新しい友達のこと…
昨日、雨でこれなかったこと…
…古い友達のこと…。
数分ほど話してから、少女は最後にこう言う。
「じゃ、また来るね?今日休日なのに、課外授業なんだ」
強い風が吹いた。
「………も連れてくるから!じゃあ、またね」
少女は、また自転車にまたがって進み出す。
「またね」。
ふと想い出す。その言葉は少女と、少女の親友たちと、少女の恋人を繋ぐ言葉。
思い出す、というのは違うかもしれない。
忘れた日なんてないから…
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