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「あ、斎藤先輩……」
珍しく気まずげな美咲ちゃん。
りょーちんの眉が僅かに反応。さっきの先輩の反応のこともあるし、何か勘付いたようだ。
「先輩、俺の妹と知り合いなんですか?」
「ああ、さっき告白させてもらった」
ぶち、と何かが切れた音がしたのは、俺だけだろうか。
顔を俯かせたりょーちんが、キレた時特有の……壮絶な笑みを浮かべている。
「なるほど。……それで? 何故、俺と勝負したいんですか?」
声は普通。殺気の隠蔽も完璧。
先輩と美咲ちゃんからは顔が前髪で隠れているものだから、二人とも今のりょーちんのヤバさに気付かない。
「ああ、速攻でフラれたんだが」
鎮火する気配。
りょーちんの変化に気付いていたクラスメートも、ホッと一息――。
「その時に『兄さん以上の人じゃないと興味無いんです』と言われてな。
だったら勝てば振り向いてもらえると思ってな」
ガソリン注ぎ込むんじゃねぇぇえええ!!
クラス全員が叫びたかった。したら殺される気がして、心の中で叫んだが。
「…………はぁ」
しかし、りょーちんの反応は意外なもの。
疲れたように溜息を吐き、美咲ちゃんの方に歩いていく。
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