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大学で出来た友人の実家は県内ではあるものの、通学が著しく困難な為、彼女はアパートで一人暮らしをしている。
その実家が、まさにリアルお化け屋敷らしいのだ。
家族全員がもれなく怪奇現象に遭遇する為、数年に一度御祓いを頼むという。それでも怪奇現象は止まないというから、気合の入ったお化け屋敷だ。借家か持ち家かは知らないが、ローンを組んで買った家だとしたら、友人の親はとんでもない物件を掴まされたものである。
勿論、友人も怪奇現象に見舞われている。私が聞いたのは以下のようなものだ。
ある夜、友人は就寝する為に二階へ上がった。廊下の突き当たりには鏡があり、廊下に並ぶ部屋のドアを映している。
何とはなしにその鏡を見ながら進んでいると、友人の後のドアが少し開いたのが鏡で見えた。
それだけならまだしも、ドアの隙間から、白い手がするりと出てきたのでたまったものではない。友人が叫んで腰を抜かすと、悲鳴に気付いた友人の弟が来てくれた。
弟に手の事を話そうとした時には既に手は無く、後ろのドアも閉まっていたという。
友人の家族は両親と弟、妹で構成されるが、弟が来てくれるまで、友人以外は一階の居間にいたらしい。
それなら、あの手は一体何だったのか。
私にこの話をしながら、友人はちょっと泣きそうになっていた。よほど怖かったのだろう。
この体験が原因なのか、友人は今でも、使わない時は姿見にカバーをかけている。遊びに行った私がそれをめくる度に「ちゃんとかけといてよ」と念を押す始末である。
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