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私は読書が好きである。母曰く、まだひらがなもろくに読めない頃から、母に絵本を読んでくれと迫っていた。それが一冊ならまだしも、一度に五冊は抱えていたというから始末が悪い。一応母も読むのだが、三冊目あたりから面倒になり、どうせバレないとページを飛ばしたりしたらしい。すると母が思う以上に物語を覚えていた私が「お話しが違う! また最初から読んで!」とツッコミを入れ、ちゃんと読むより面倒な事態に陥ったというからタチの悪い子供である。自分なのだが。
こんな子供だったので、読み書きの書きはともかく、読みを覚えるのは他の子よりも早かった。そのうち自分で本を読むようになり、ようやく母は厄介払いができたわけだ。
自分で本を読めるようになり、私は更に本にのめり込んだ。他の子がお外で元気に遊んでいるのに、室内で本ばかり読む私に、保育士が「もしかして、お友達いないの?」と失礼な事を聞いてきた事もあった。
小学校に入学した私は、図書室の存在に狂喜した。なにせ見渡す限り本なのだ。ハーレムである。
朝は図書室に行く為にかなり早く登校し、昼休みにも本を読み、放課後も先生に追い出されるまで居座った。とにかく本が好きだった。
図書室漬けになって一年が経過した頃、いつものように朝から図書室にいると、本を読む私の耳元で「うふふ」と笑う声がした。先生かと思って後ろを見たが、図書室には私の他に誰もいなかった。その場では「きっと空耳だ」で済まし、やがてHRのチャイムが鳴ったので教室に戻った。
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