プロローグ

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中央線に乗るのなんて、何年ぶりだろう…。 東京駅でふとそう思った。 寒い寒い二月の日曜日、私は一人で中央線に乗った。 日野に住んでいる友達の家に行くためだ。 あれから、中央線に乗るのは避けていたのに。 電車に乗り、私は文庫本を開く。 何かをかき消すように文字を読んでいく。 しかし、電車が新宿駅を発車した途端、私は文庫本を閉じた。 「次は中野です。」 そのアナウンスを聞いて、胸が熱くなった。 私は3年前の夏、この中野を舞台に恋をした。 それまでも、それからも恋をしたけど、こんな熱烈な恋はもうできないんじゃないかと思う。 一生忘れられない、そんな恋だったのだ。
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