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3メートルほどの位置で静止したはずなのに、どういうわけか自然と身体が漂流物にゆっくりと接近するのだ。
ワケがわからないジョンソンは何度か宇宙服の姿勢噴射で少し離れてみると、ゆっくりとだが、やっぱり漂流物に身体が引き付けられることを確かめて不安を声に出した。
《なあメリック………磁気反応も無いんだろう?》
「だからナンだよ、俺様の高尚な頭脳はだな」
《コイツ引力を持ってるぞ》
この発言には船長とセルゲイも興味を持った。
「………詳しく説明してみろ。セルゲイ、緊急回避スタンバイ」
《ナゼかな船長。3メートルくらいに近づくと身体がゆっくり引っ張られるンですが、簡単に離れることも出来るンです………》
「接触までは?」
《20メートルを切ります》
「メリック出番だぞ、コイツを説明できるか?」
船長にうながされるまでもなくメリックは再度すべての観測機器をチェックして何も反応が無いことを確認すると、しばらくモニターの円鏡とレーダー画面を交互に見つめ続ける。
そして、信じられない、といった顔をするとセルゲイに向けて声を張り上げた。
「ああ、くそ、ヤバイぞ!側面噴射!急いで離れろ!」
「セルゲイ!」
「全開します!ユニットスラスター点火!ジョンソン、キミも離れろ!」
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