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《寿命がチヂんだぜ………なあメリック、縮退物質なんて白色矮星か中性子星じゃなきゃ有り得ない状態じゃないのか?》
「ところがだ。原子密度なんて斥力をどうにかすれば簡単に高めることが出来るわけだろ………コイツはたぶん、1千万トンクラスの小惑星と同じ質量があるはずだ。それを1メートルの円盤に圧縮すれば重力場の半径はほぼ3メートル、鏡の表面重力は2から3Gってところだろうよ。
光や電波の反射ってのは要するに、反射面の凹凸に左右されるシロモノだ。凹凸が粗けりゃ乱反射するし細かけりゃ等角反射する………こんだけ密度が高けりゃ原子レベルで等角反射するだろうな。鏡がアンテナに向いてなきゃあ、レーダー波なんか帰ってくるもんか」
「それが本当なら、もし当たってたら大事故じゃないか。ダッチマンの質量はせいぜい1万トンだから、その1000倍じゃ喧嘩にならないよ」
《危ないところ、というかキワド過ぎだぜ。誰がこんな物を》
その時、船長が何かを思い付いたらしく、ポンと手を叩いた。
「なるほど、確かにその通りだ。メリック、ジョンソンのヘルメットカメラから物体を正確に正面から捉えた記録映像を解析しろ」
「まさか船長、製造標識を見つけようってんじゃないだろうな」
「ついでだ、悪いか?」
「物好きだねえ………」
《俺は努力したぞ!》
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