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紹介が遅れましたが、この物語の主人公である如月沙羅。性格はおとなしそうな見た目とは裏腹にドォンと根性の座った16歳の少女である。唯一の特技は幼い頃から習っている日本舞踊。先生も認めるくらいの踊り子である。
その本人は今、日本舞踊の稽古に行くために必死に準備をしている。
「どぉしよぉ……このままだと間に合わないよぉ……先生時間にうるさいからなぁ……!!自転車壊れてるんだった!」
と言うが早いか玄関へ全速力で向かっている。
家の前には小川が流れている。都会には珍しく透き通りすごく綺麗な小川。
この小川にそっていけば稽古場だ。
ザァ!!
いきなり突風が吹いた。
「きゃあっ……あっ!!」
沙羅の長い髪を結っていたリボンが風に流されていく。
「待ってぇ!そのリボンだけは…」
ヒラヒラとゆっくり川の水面に落ちていく。服が濡れるのもかまわず小川に入りリボンをすくい上げる。
「よかった……一番大切な物……」
安心したのも束の間、今までくるぶしまでしか浸かっていなかったのに川底がいきなりなくなったかのように体が水に沈む。
「わっ!何々!?わぶ!!……私泳げないしぃ!!」
みるみる沙羅の体が水にのまれていく。数秒後には沙羅の姿は完全に消えた。かすかに揺れる水面を残して……
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