第壱幕:雨音

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  まったく面識のないお爺さん。 何処にでも居そうなお爺さん。 その老人が笑顔で手招きをしていた。   お婆さんは、促されるままお爺さんに近づく。   『さぁ、お座り下さい』   お爺さんは空席に掌を向け、優しく語りかけた。   お婆さんは有り難く思ったが、同じ老人としてお爺さんを気遣う。   『有難う御座います。ですが私は足腰もシャンとしているので大丈夫ですよ』 そうお婆さんが遠慮して言うのを笑顔で聞いていたお爺さん。  
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