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『なぁに、私にはコレがあります。杖の代わりになるでしょう。ささ、どうぞ』
お爺さんは傘を見せながら笑顔で片目をつぶる。
傘を杖代わりに座席を譲るお爺さん。
笑顔でお辞儀して、座席に座るお婆さん。
もはや言葉は要らなかった。
素敵なウィンク お爺さん。
その心意気 おGさん!
そしてバスは走り出す。
『次は、○△布団店前。○△布団店前。』
車内は、まだ子供達の騒がしい英語が飛び交っていたが、お婆さんの心には暖かい気持ちがいっぱいであった。
車外に目をやると、雨脚は少し増している。
窓を叩く雨音は、おGさんへ贈られた拍手のように、お婆さんの胸に響いていた。
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